SWSファンの皆様、ごきげんいかがでしょう!!
もう気候はすっかり夏のような陽気になってきましたがお元気にお過ごしでしょうか。
ここ日本には早くも先日、今年の上陸台風1号が襲来、途中で熱帯性低気圧に変化したから良かったモノの、まだ初夏なのに変な天候が続いています。
さてさて先号のブログに続き、今回も「プラモキットの味」について私の独り言の始まりです。
私の独断と偏見と、そしてまるで夢の中のようなお話におつきあいをいただければ幸いです。
今から工作を始めようとするプラキットからくるその味わいを、私は勝手にプラキットの「今味」と呼んでいます。
前味から続く余韻と、その現物から受けるリアルな味わいは、プラキット工作から受ける味わいの中の味わい、まさにそれこそがプラモ味の真髄ということができます。
箱絵を楽しみ、箱を開け、そしてキットのランナーにニッパーを入れる瞬間から、その味わいは始まります。
キットの素材や色調。各ランナーのパーツ配置のセンスも楽しみの一つです。
勿論、パーツの成型と、その精密さや形状の巧みさなども大きな注目点です。
その他説明書にデカールの仕上がりなどなど、メーカーの意気込みがダイレクトに感じられ、興味は尽きませんね。
一口にプラスチックと言ってもその素材の品質や性質には明確な違いがあります。
「カチッ!」とした切断味のキット素材もあれば、「ムチッ!」としたやや粘りけのある切断味もあります。私の好みはSWSキットのあの切断味の通り、やや粘りけのある味わいが好きなのですが、皆さんはどうでしょう。
パーツの色や艶にも各メーカーごとの拘りがあります。
SWSキットもシリーズ当初は、私の好みで4色のカラーパーツでお届けしておりました。
が、どうしてもグレーに。というモデラーの意見で今の成型カラーに落ち着きました。
当時のキットを持っているあなた。それはそれで値打ち物ですぞ。
またパーツの切り出し工作には、くれぐれもプラキットパーツの切り出し専用のニッパーを使って下さいね。間違ってもごつい金工用のニッパーや、いきなりナイフなどで無理矢理切り出すなんて事はなさらないように。
繊細な描写が命のスケールモデルの切り出し工作には、繊細な加工が出来るニッパーほか様々な専用の工具が必要です。
パチッ! パチッ! と小気味よいニッパーの切り出し音が静かな工作室に響きます。
シュッ、シュッ、シュッとプラカンナのパーツ表面を整形する音も楽しいリズムです。
もうこの辺になれば、ただひたすらにそのキットの持ち味を味わいながら工作を進めて行く夢の時間が始まります。
ほら、頭の中には、ひたすらそのキットの発売を待ち続けてきたあの日のことが思い出として蘇ってきますよ。
仕事のこと、家庭のこと、スポーツや事件報道のことなど、次々に思い出が蘇ります。 私など、趣味の園芸や鯉の飼育、そのほかペットのことまでがぐるぐる頭の中を駆け巡ります。
仮組をしながら、パーツの切り出し工作の方も順調に進んで行きます。
ここはモデラーの喜びと満足感が湧きだしてくるような時間と言っても良いかもしれませんね。
ただただ幸福なモデラーだけの時間だけが流れて行くようです。
またそれは想像の世界ではありますが、このキットの細部までを自分自身が開発してきたかのような心地よさも味わえますよ。不思議です。
こんなに愛おしいものが、どのようにしてこの世に生まれてきたのかという、開発物語が自分の中で蘇るようです。
まさにそこには想像と夢の中の世界に自分を解き放つような感覚があります。
「おお~~ここはこうなったのか!」
「おっ!これはこうすればよいのか」
「綺麗なパーツじゃ」
「ピタリと収まるこの感じも良いぞ」
などと、キットの各部やその形状、モールディングなどを吟味しながら、作業と確認が同時に進行して行きます。
この時の全てこそが「今味」の味わいの真髄というものです。
なかには 箱を開けるのに 数ヶ月間もの熟成時間を取る人もいると聞きます。
(実は私がそうなのです。買ってからすぐに作り始めるなんて早すぎます。2、3個のキットを積み上げて、たっぷりと満足感に浸らねば。ですよね。)
まるでそれは、ワインの熟成を楽しみに待つようなものです。
ランナーの隅に打たれたランナー記号がすぐ読み取れるように、大きな紙に記号を入れて貼り付ける作業も楽しみの一つですね。これをしておかないとランナーをあっちにやったり、こっちにやったり、ついにはランナーを机の下に落としたり、更にはパーツが飛んで無くしたり、散々な目に遭ってしまいます。
更にこうすることで、大まかにキットのパーツ構成とその組立手順を頭の中に入れておくことも出来ます。
繰り返しになりますが、どんなに急いでいても、いきなり工作に入り、パーツを接着するのは禁物ですぞ。急がば回れです。
まずは説明書に従って必要なパーツだけを切り出し、用意した小皿や小箱などに移します。
そしてその形状や組み付け具合の確認を兼ねて、入念な仮組を繰り返し行います。
こうすれば機体の構造や、組み上がりの状態を頭の中にたたき込むことが出来ます。
こうして十二分に納得の上、慎重にパーツの接着工作に進みます。
これらはごく当たり前のプラモキット工作の作業進行の手順ですが、希にこれを無視するモデラーがいると聞いた事があります。
しつこくて恐縮ですが、接着前の仮組の大切さ。ここは何度も言わせてくださいね。
接着剤も部分に最適のモノを選択します。最近は驚くほど多様で、接着用途に適したモノが手に入りますからね。
またパーツには、良く似たものがあったり、左右、前後、上下、組立順序、組み合わせなどなどにも充分な注意が必要です。
「説明書なんぞいらんわい。」
とこれを無視して工作を進めると思わぬ落とし穴にはまってしまいます。
「オロロ、私ほどのモノがどうした事じゃ!!」
と、なっても私は知りませんぞ。
がっしりと接着剤が効いてしまったパーツを引きはがすあの残念さはもう言葉にもならないくらいです。その上、溶けてしまったパーツは決して元には戻らないのがプラスチックモデルの悲しいところですからね。
接着工作は最後の最後、仮組に納得してから慎重に。と決行するのが原則です。
ただし、間違って接着してしまった場合にはどうする!?
おやおや。そんな場合は、済んでしまったことに騒がず嘆かずためらわず、パーツ請求をするか、思い切ってもう一個買うのが最良の選択ですぞ。
ともあれ、「今味」の味わいは慌てない、焦らない、こんがらがらない、そして怒らない腐らないのが肝心です。急がば回れ。の諺の通り、ゆっくりと確実に工作過程を楽しむことがその醍醐味を味わう秘訣です。
SWSキットならば、実機の構造もここでしっかりと理解が出来るという訳ですから、存分に「今味」を味わうことが出来るというモノです。
あれれ!? もう間違って接着しちゃったですって!?
ああ~~。仕方無し。ここはもう、もう一機買いましょう。
買っちゃいましょう先輩。
あなたにまとまった時間が取れたなら、工作場の椅子に座るあの楽しい日がやって来ます。
いつものポーカーフェイスを保ちつつ、はやる心を押さえながら、おもむろに箱を開けてくださいね。
中にはTa 152のパーツがぎっしり! あなたの手によって、飛び立てる日を待ち構えています。
ひとつひとつランナーを・・・。見ては直し、見ては直すが始まります。
おっとその前に、まずは説明書の出来映えはどうだ。おお~~良い線行ってるぞこいつは!!
と、何歳になっても、ここは思わず笑みがこぼれてしまうのを禁じ得ませぬな。
私の長年の夢から、SWSのキットは説明書にも力を入れて制作をしております。
ほら、キットの中には、説明書がまるで工作の混乱を誘っているのか知らん、という複雑なものが無いわけではありませんからね。
え? 言われなくても、そんなのはいっぱいあるって!? そうですよね。
何度見ても、どうみても、どうしたらこのパーツをそこに接着出来るのかが理解できないような説明書も。うっかり接着をしてから、それが間違っていたときのあの怒りと動揺は、もうどこにも持って行きようがありません。
またパーツ接着の指示を、矢印だけで「ハイお終い」というのも困ってしまいます。パーツには取り付け位置や角度というのが本当に大切なのに、それが無い!!
こんな時はほとほと困ってしまい、私などは思わず虚空にむかって「ワンワンワ~ン!」と愛犬の真似をして吠えてしまいます。
「ワン!」え? 今のはあなたもですか!?・・・・・それはいったい何故!?
自分がSWSという、プラキットのメーカーという立場になった今、あの悲しさと落胆をモデラーの皆さんには味わわせたくはありません。
だからSWSの説明書の制作には、レイアウトや図面の製作に一人、実際の試験工作に一人、そしてパソコンでの仕上げに一人、の3人係で仕事にあたっています。
当然、この3名は作業進行のひとつひとつにお互いの情報を持ち寄り、それこそレストランの厨房のような連係プレーでラフから仕上げまでを担当して行きます。
SWSキットは説明書も見どころの一つであることを強調させてくださいね。
さあ!!「明日からこの工作場の机に座っての時間が楽しみじゃ~。」
おっと待ってくだされい!
こうなる前には、そう! いつものあの一仕事が待っていますぞ! ご同輩!!
まずは自分の工作場か在庫の棚に、この新キットの箱を誰にも悟られずにそっと隠密に持ち込む作戦からそれは始まっているのを片時もお忘れなく。
ね。ここでミスってしまえば、後はもう万事休すですぞ。
たとえこのキットの場合は何とか言い訳が効いても、あとからあとから続くあなたの新キットコレクションの増強作戦とその継続に、どんな悪影響が出てしまうか判ったものではありませんからね。注意、注意!!
ここは造形村の経営とも深く関わるところですから、どうか慎重に作戦を進めてくださるよう、心からお願いしておきますぞ。
夢夢あなた、敵の探査能力と第六感を軽く考え、侮ってはなりませぬぞ。
いつものように、「それは人からもらったモノだよ。」とか「抽選に当たった景品じゃ。」
などというくたびれ果てた言い訳も説明も、お互い、もうこの年になると古びて使えませぬから注意のうえにも注意が必要です。
くれぐれもまずは誰にも知られず、悟られずが肝心ですぞ。
その上、ただひたすら秘密のままで押し通す覚悟と勇気とユーモアも。
工作場の隅に、何故かもうずっと前からH-0はそこにあったような雰囲気や隠匿工作などをちょっぴり手間を加える必要もありましょう。
あくまでも、在庫キットのひとつとして、群れの中に混ざっていてこそ本作戦は完遂されるというモノですから。
時には足で一蹴りしておくという小技を効かせるのも良いかもしれませんな。
「え? それはいつもやってるから、今度もやるよって!!」
おお~~先輩! グッジョブ!!
さすがにオールドマンモデラー。 伊達に長生きは致していませんな、エライぞ!!
さあ、いよいよSWS 1/32 Ta 152 H-0を楽しむ長い旅路の始まりです。
ここで改めてキットの箱絵の鑑賞から始めることにいたしましょう。
言うまでもなく、まさに箱絵は、スケールモデルの醍醐味の大きな要素の一つです。
息をのむほどの迫力があるものもあれば、まるでそれは抽象画のようなものも、中には中身とまるで違う場違いなモノまであって、どれもこれもに心が躍ります。
パッケージアートという作品を楽しむのも「今味」の醍醐味のひとつです。
これだけでもキット同様、それはあたかも実機の物語を見るようではあります。
さあ、箱を開けてみましょう。
プラモキットの「今味」。いかがでしたでしょう。
次回のブログ最終回では「後味」について皆さんと一緒に考えて行きましょう。
おっと。気になる5月23日東京で開催の「SWS例会」の会場風景や、例の新キットの情報も合わせてお知らせの予定です。お楽しみに!!
更に1/48で双発ジェット、そして私が好き。
とくればもう、それはあれに決まってますよね!
例会に参加の皆様には、当日に限り禁断の「モックアップモデル」をご披露しようと開発チームは準備に余念がありません。SWSでこれを実現するとこうなるのだ!!
という感動の試作品モデルを、どうぞあなたご自身の目で間近にご確認ください!!
私など、そのモックアップモデルをひと目見ただけで、全身に鳥肌が立つくらい感動しましたぞ。
この機体こそ、過去には星の数ほどとも形容されるくらい多くのキットが発売されてきましたが、未だかつて、このキットほど私の魂を揺さぶった物はありません。
きっとあなたの魂をも揺さぶるに違いないものと、私も自信を持って今から楽しみにしています。
次回の「オヤジブログ」での情報を、どうぞお楽しみに!!!
おっと! この貴重な試作モデルは今年7月22日~25日までの4日間。アメリカ オハイオで開催されるIPMS会場内、造形村ブースでもお披露目の予定です。
IPMS USA National Convention in Columbus, Ohio 2015
(ボークスUSA Facebook)
IPMSオハイオに参加予定のあなたなら、いよいよ初お披露目が叶います。
ぜひご期待してくださいね!! すごいぞおお~~!
ではまた近日をお楽しみに!!
造形村 代表 重田英行
↓↓ 下記メッセージ送信フォームよりドシドシお送りください ↓↓